Interview ゲストハウスで恋愛相談、はじめました。MARUYAスタッフ「べぇちゃん」ってどんな人?
machimoriが運営するゲストハウスMARUYAは、11月6日から火曜日限定で「恋愛相談付き宿泊プラン」をスタートした。本サービスをはじめたスタッフは、渡辺ノリタカこと「べぇちゃん」。2年間で約200人の相談に乗ってきた恋愛相談の達人だ。今回、なぜべぇちゃんがMARUYAで本プランを始めようと思ったのか、そもそも恋愛相談をはじめたのはなぜなのか? べぇちゃんの半生や思いを聞いていく。
宇宙物理から恋愛相談に行きついた
べぇちゃん 恋愛相談そのものは26歳の頃にはじめました。今のような対面で話を聞く形式ではなくインターネット上で。「ココナラ」というスキルを売り買いできるサイトで恋愛相談サービスを提供していたんです。2年間で約200人の相談に乗りましたが、評価も5点満点中4.9点と、評判も結構良かったですね。
-そもそも、なぜ恋愛相談を始めようと思ったんですか?
べぇちゃん 大学の頃は宇宙物理が専門でした。ブラックホールの研究とかをするなかで、「なぜ人間って生きているんだろう」という疑問にぶち当たったんです。完璧な宇宙原理のなかで、人間だけが予測不可能で自由に選択する権利がある。不思議だな〜と。人間が生きる意味や理由と向き合おうと思ったときに、恋愛相談に行きつきました。
-え! なぜそこで急に恋愛相談に? もう少し詳しく教えてください。
べぇちゃん 25歳の頃に新卒で勤めたケーブルテレビを辞めて「ピースボート※1」に乗っていたのですが、そのときに何となく恋愛相談を始めたことがきっかけ。恋愛って人の心の根本なんです。仕事は建前の付き合いができるけど、恋愛はそうもいかないですよね。肩書きや立場関係なく、その人の本性が一番出るものだと思うんです。それに気づいてからは、人間が生きる意味を恋愛相談を通じて読み解くことを、一生のテーマにしようと決めました。
-なるほど。べぇちゃんにとっては、恋愛相談を通して人間を研究している感じなんですね。
べぇちゃん そうですね。相談に乗った前と後だと、相手の表情が全然違っているので、その変化も含め「観察」している感じです。
相談を「聞く」ための3つのコツ
-相談に乗るうえでのコツというか、決め事などはありますか?
べぇちゃん 私の相談の乗り方って、「ただただ聞く」だけなんです。だけど、聞くには必要な力が3つあると思っていて、それが「傾聴力」「質問力」と「沈黙の力」。特に3つ目の「沈黙の力」が大事だと思っています。例えば、人は沈黙が苦手なので、シーンとなったら何か話そうとしてしまいますよね。そういうときって大概本音が出るもの。こちらが何かを伝えたり教えるというスタンスではなく、3つのポイントをうまく使って、自分から話してもらう場を作るようにしてます。
あとは絶対に価値判断はしないということ。人の恋愛の仕方や人生の価値観は人それぞれだし、正義や信じるものも違います。なかには「不倫しています」という人もいるけど、それをダメだという意見は押しつけない。私が相談者の人生を決めることはできないので、答えを提示することもありません。その選択の先には悪いことが待ってるだろうなと思ったとしても、必ずしもその経験自体が悪いかどうかは限りませんから。そこから学ぶものもあるし、自分で決めないと「あのとき、べぇちゃんがああ言ったから…」って簡単に人のせいにできてしまう。
答えは大抵相談者の方のなかにあるので、過去の経験やストーリーを引き出すことが大事。私の立ち位置は、目の前の課題に対して自分で答えを出せる方向に持っていく、いわばコンサルティングのような役割です。
温泉地と恋愛相談って相性がいい
-26歳の頃から恋愛相談を生業にしてきたべぇちゃんですが、MARUYAで恋愛相談をはじめようと思ったきっかけはなんだったんでしょう?
べぇちゃん 当時インターネットビジネスを本業にしていて、その合間に週1でMARUYAの清掃アルバイトをしていたんです。数ヶ月過ごすなかで、MARUYAの夏の繁忙期と「ネットビジネスが肌に合わないからやめよう」と思った時期が重なって、徐々にMARUYAの比重が大きくなっていきました。当時は、正式なプランとして恋愛相談があるわけではなく、趣味程度にゲストの恋愛相談に乗っていただけでした。
-先ほどネット上で恋愛相談に乗っていたと言っていましたが、インターネットで相談を受けていた反応と、リアルの場では何か違いはありましたか?
べぇちゃん 全然違いましたね。明らかに相手の顔や声のトーンが明るくなるのが分かるので、反応が直接感じられるのが嬉しかったです。「ココナラ」で恋愛相談に乗っていたときも楽しかったし、4.9点の評価をもらっていたんですけど、イマイチその点数を正当な評価として受け入れられなかった。自己評価が低いんです(笑)。だけど、対面で相談に乗った人の変化を見ていくうちに、少しずつ恋愛相談所としての自信もついていき、ようやくお金をいただいて相談に乗る宿泊プランを打ち出せるようになりました。
-MARUYAで恋愛相談プランを打ち出そうと思った意図は何かあったんですか? ココナラでの経験もあるわけだし、独立して恋愛相談所を作るという選択肢もあったのでは?
べぇちゃん 確かに、独自で恋愛相談所を運営できなくもないですが、MARUYAだからこそ生まれるものがあると思いました。
べぇちゃん 旅行ってリフレッシュしたり体を休める目的で来る人が多いですよね。心が少し緩んだ状態になるからこそ、自分をちょっと吐き出したくなる。恋愛相談って、心のデトックス効果があると思うんです。MARUYAで恋愛相談を受けるなかで、ゲストハウスに泊まって体を休めながら、恋愛相談で心も休めてもらう。そんなことを提供できる環境ってすごくいいなと思うようになりました。ゲストハウスというラフな場所だからこそ生まれる、ゲストとの距離感もちょうど良かったんでしょうね。
それに、趣味や自分がやりたいことを仕事に紐づけるのは全然悪いことではなくて、むしろそれが一番楽しく、継続性を持って続けられます。宿泊つき恋愛相談プランをやってみたいと伝えて、すぐに実現できる会社もなかなかない(笑)。会社にいながら恋愛コンサルタントとしても活動できるのは、とても有難いです。
“自分軸”で恋愛をして欲しい
-これからも恋愛相談は続けていくと思うのですが、恋愛相談を受けた人にはどうなって欲しいですか?
べぇちゃん 自分の人生を自分でデザインできるようになって欲しいです。恋愛面でも「家族が心配しているから結婚した方がいいのでは」とか「年収が高い人を選んだ方がいいんじゃないか」とか、社会的価値観に振り回されることがよくあります。そうではなく、自分の物差しで選択して欲しいし、そのきっかけになれば嬉しい。
私は3つ上の奥さんがいるんですけど、結婚当時は月収10万円しかなかったんです。世間一般的には結婚相手としてアウトだと思いますけど(笑)、奥さんは気にしなかった。反対に、彼女は仕事が好きで掃除が苦手なので、「女性が家事をするものだ」とか「子供が生まれたら仕事をセーブした方がいい」というような、一般的な女性像を押しつけてくる人は嫌だったんですね。結局は、社会的な定義や価値観に振り回されずに相手を見て、お互いが納得すればいいと思うんです。結婚して5年たちますけど、喧嘩は一度もしたことないんですよ。
-では最後に、べぇちゃん自身はこれからどうなっていきたいかを教えてください。
べぇちゃん 世の中の歌詞の大部分って恋愛がテーマじゃないですか。それほど世間は恋愛で溢れているのに、サポートしてくれる環境が少なすぎるんです。学校で恋愛の仕方を学ぶわけでもないし、仕事のようにPDCAの回し方を教えてもらえるわけでもない。私自身、高校生の頃に恋愛で悩みに悩んで、白髪が一気に増えた経験があるのですが、恋愛の良し悪しに人生が引っ張られてしまうことってすごく多いんです。まさに人生のブラックホールです。
MARUYAを皮切りに、全国に気軽に恋愛相談ができる場所を作りたいと思っていて、先日、その一歩として「熱海 恋愛デザイン事務所」を立ち上げました。恋愛相談をきっかけに、人生をポジティブに進めていける人が少しでも増えてくれたら嬉しいですね。
※1 「世界と出会い地球を体感する」を掲げた地球一周クルーズ
取材・文:水野綾子 写真:岡田良寛
渡辺ノリタカ(べぇちゃん)
1988年生まれ。23歳のときに適応障害を発症し、人生の意味を考え始める。25歳でピースボートに乗船、18カ国を旅し、幸せの意味を見つける。帰国後は2年間のニート生活をしながら、ネット上で恋愛相談を実施。評価は5段階評価で4.9をマーク。だれかが決めた価値観で恋愛軸を作るのではなく、自分らしさを軸に恋愛軸を作るコンサルティング手法により、多くの人の恋愛を成功させる。2016年からMARUYAスタッフ。2017年に結婚、交際期間も含め5年間ケンカ0の夫婦生活を継続中。
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