COLUMN machimoriのブログ

まちづくり会社でのインターンシップを、将来につなげたい!〜熱海に飛び込んで半年が経ちました〜

2018.10.23 / 6,356 views

 株式会社machimoriでインターンをしている高橋かの(横浜国立大学経営学部3年)です。一年間という限られた時間の中で、熱海でしかできない体験をたくさんしたいと日々全力で生活しています。

 大学で学ぶ経営学もインターン内容に関わってくるので、あえて休学はせず、春学期中は一週間のうち2日は横浜へ通学をしながら、残りのすべての時間を熱海で過ごしていました。

4月、高校生の教育旅行にて登壇

 

 株式会社machimori(正確にはNPO法人atamista)では、2011年から現在まで、私を入れて20人近くの学生インターンを受け入れています。私の場合インターンの内容は、「海辺のあたみマルシェ」や「guesthouseMARUYA」、「99℃ Startup Program for ATAMI 2030」など、複数のプロジェクトに企画・運営として関わらせてもらうというものですが、頻繁に面談を通して私の興味に合わせた役割を考えてくださるので、やる気さえあれば多くの経験が贅沢に積める現場だと思います。

 現在は、machimoriの活動拠点である熱海銀座通り商店街の中で生活をしています。出勤の日は、早朝の静かなゲストハウスMARUYAラウンジで一息ついてから、数件隣のコワーキングスペースnaedocoへ移動。プロジェクトごとのミーティングに参加したり、任された作業を進めたりしているとあっという間に夕方になります。その後、再びMARUYAに帰ると、MARUYA Terrace(MARUYA併設のサバサンドが美味しいバー)がオープンしているのでそこで常連さんやゲストハウス宿泊のお客さんと最近あったことなどを話します。時々、そのままお客さんたちと夕ご飯を食べに行くことも…。この夜の時間は、お客さんたちから普段は聞けない仕事の話や昔の熱海の話などを聞くことができて、日々の活動の原動力になっています。

 

5月、guesthouseMARUYAにてスタッフ全員で”金曜グルメの日”の後片付け

8月、常設マルシェの形で”Local Craft Collection”を限定開催

 

 熱海にインターンに来て、一番驚いているのは「ネットワークが広がる速度」です。4月に熱海に来た当初は、社員、会社の関係者、商店街の方々などの顔と名前を必死で覚えましたそれも1ヶ月もすれば落ち着いてくるかなと思っていまし、その後マルシェの出店者やオンパク実践者、99℃卒業生、さらには商工会議所の会員などイベントごとに新たな出会いがあり、今のところ全く落ち着く気配がありません。

最初の1ヶ月で交換した名刺

 Facebookで新しく友だちになった人だけでも、今年度はすでに150人弱にのぼっていて、(今回の執筆のために)改めて見返すと、本当に多種多様な生き方をしている人ばかりなので、すぐにいつどこで会った方なのか思い出せます。

 

 私は、まちづくりをしていくうえで地域とどう関わっていくか、そもそも民間でのまちづくりってどういうことをするの? ということが知りたくてインターンを始めています。5ヶ月前までの私は、まちづくりとは、「まちを元気にするために観光客や住民を増やして、豊かにする」ことだと思っていました。

 しかし、熱海に来て、何人もの飲食店のマスターやママと話をしているうちに、新たなまちづくりの形が見えてきた気がしています。あるマスターはマルシェの改善点を、あるママはゲストハウスの部屋の掃除の仕方を、自分事として捉えて教えてくださいました。machimoriのプロジェクトは30~40歳中心に行われることが多いですが、地域の方たちは、私たちを「よそ者」「若者」と線引きをせずに、助言をしてくれるです。

 もちろん、私が会ったのがたまたまそういうマスター・ママだったのかもしれませんが、ここから「まちが新しいこと(まちづくり)を始めようとしている人を応援する」という今までとは180°違うまちづくりの役割を発見しました。

 つまり、必要なのはまちの人たちに「気付き」や「きっかけ」を贈ることであり、本当にまちをつくっていくのは、どこの誰でもなく地元で生活をしている方々自身なのではないかと思ったんです。

 

未来への想いの源泉になっているのは、実家の畑のこんな雰囲気

 私は、大学卒業後、熱海とはまたガラッと雰囲気も条件も違う「農村部」(場所はまだ未定)で、農のあるライフスタイルや食べ物の成り立ちを発信していきたいと考えています。そして、「そこ」を同じように「農」や「食」とテーマにスタートしたいと思っている人が、まず訪ねてくれるような場所にしたい。そのためには、「そこ」が地域住民にとって近寄りがたい場所であってはならないし、何かを実現したくて訪れた人が悩んだ挙句に離れていってしまうような場所であってもならないと思います。

 「農村部」は、年間約300万人の人が訪れる「観光地」である熱海とは雰囲気が全く違います。地域の外から知らない顔が入ってくれば、それだけで噂話のネタになることも。閉鎖的な側面もありますが、反面、自然との共存を図った生活スタイルは人間らしく、他にはない魅力があります。

  農村部の抱えている課題は「耕作放棄地(または空き家)の増加」、「少子高齢化」など、熱海と共通している部分が多くあります。そして、熱海がそうであるように、課題を解決したいと農業の世界に飛び込んでくる若い世代が増えつつあります。

 農村部の良さを残しつつ、いかに新しい人に興味を持ってもらい、呼び込むことができるか。さらに彼らが継続して「そこ」と関係を続けていきたいと思ってもらうにはどうすべきか。熱海が持つ観光地ならではの寛容さや、姿勢、コミュニティ運営の仕方など、熱海での経験が私の夢に活かせるのではないかと考えています。

 

“Startup Camp in ATAMI”がきっかけで、今は創業支援プログラム”99℃ Startup Program for Atami 2030″に運営として参加できることに

 大学では、外部環境との関係性についても学びましたが、実際に地域に飛びこんで、仕事も遊びもその中で経験してみると、肌感としてその意味がわかります。

 インターン期間も折り返しに差し掛かろうとしていますが、熱海で様々な事業やプロジェクトが生まれ育っていく現場を見たり、お互い影響しあえるような先輩や仲間に出会ったり。熱海にどっぷり浸かった生活はそのままに、残り半年はそこからつながる全国、世界にも目を向けていけるようになれたらいいな、と思っています。

 この一年を、夢の実現への糧にしていきたいです。

5月から関わっている”海辺のあたみマルシェ”にて(第31回 9月23日)