静岡県リノベーションまちづくりBoot Camp第二期を実施しました
民間まちづくり会社として、「街を変える戦略」と「自立・自走する事業プラン」を生み出すためのブートキャンプと題して行う『静岡県リノベーションまちづくりBoot Camp』の第二期が終了しました。
2021年1月19日(火)~3月12日(金)にかけて、下田市、賀茂郡南伊豆町、焼津市、浜松市天竜区の4チームが参加しました。昨年度は1泊2日の合宿を行いましたが、今年度は違う形式を試み、新型コロナウイルス感染症対策も兼ねて、全てオンラインで実施しました。session前の動画視聴やオンライン相談会を行い、インプットとアウトプットを繰り返しました。また、昨年度参加の一期生や県内の金融機関の方にも参加していただき、それぞれの立場からチームをサポートしていただきました。
<今年度の実施スケジュール>
session 1:2021年1月19日(火)
session 2:2021年2月16日(火)
session 3:2021年3月12日(金)
sessionが始まる前に、オンラインの事前説明会にて初顔合わせ。
そこで、自己紹介や事前課題も含めたBoot Campの流れの説明をしました。
事前課題として、リノベーションまちづくりに関する課題図書や、メンターの紹介、フレームワークの解説の動画の視聴があり、成功・失敗事例や課題分析のしかたを学びました。
session 1では、ゲストメンターに、NPO法人西湘をあそぶ会の原 大祐さんをお招きしました。「街を変えるコンセプトと戦略を立てる」を目的に、まちの課題を見つけ出しながら、どんなビジョン、コンセプトを描いてエリアを変えていくのか、事業計画を考えました。
session 2では、ゲストメンターに、株式会社旧三福不動産の山居 是文さん、株式会社MY ROOMの倉石 智典さんをお招きしました。「街を変える事業を生み出す」を目的に、お金のことともしっかり向き合いながらどうやって事業を成り立たせるのか、事業計画をブラッシュアップしました。
また、吉原マネジメントオフィス株式会社の鈴木 大介さんとmachimoriの市来が伴走メンターとして2か月間それぞれのチームに伴走し、相談会や現地視察を行いました。
下田市 村をつくり、人をつくる
下田市を中心に、アウトドア事業を全国展開している株式会社VILLAGE INCの梅田さん、佐藤さん、本間さんの3人が参加。
伊豆半島は観光業が盛んであり、少子高齢化が進んでいるエリアです。下田市も例に漏れず、このコロナ禍で産業が大打撃を受けました。一方で、移住の希望者が増え、宿泊施設が多様化しています。空き家を活用して、地元の人材育成や移住して新しいことにチャレンジする人たちのサポートを考えたいと、参加を表明しました。
VILLAGE INC.らしさとは?やはり最初に思い浮かぶのが、アウトドアが好き!ということ。彼らがやるべきことは、まち全体をキャンプ場にすることだと考えました。そこで、アウトドア要素を取り入れた空き家プロデュース事業を始めることを提案しました。
最終的に、地方移住を検討している30~50代が地域に関わるための宿泊施設、シェアハウス、賃貸などの物件を運営したいという提案になりました。さらに、スタッフのDIYスキルや利益も向上してしまう。チームで唯一地元出身である梅田さんが、下田のイメージキャラクターになり、第二の梅田さんのような地元の若者を一人見つけ出すことも考えています。
VILLAGE INC.としての閑散期である冬に動き出せるように、これから少しずつ準備を進めていきます。
南伊豆町 南伊豆ファンも地元民も喜ぶプランづくり
株式会社しもズブの藤井さん、角田さんと、町内の企業とともにファンを増やす取り組みをしている杉澤さんがチーム化。3人とも県外出身であり、外から見た南伊豆の魅力を自分たちらしく発信すべく、参加しました。
南伊豆町は、夏の観光客からの収入に依存しており、彼らの大好きなこのまちがいつか消滅してしまうのでは、と危機感を持っています。
若者が集まり二拠点生活のモデルとなるクリエイティブオフィスを作ることや、下田から南伊豆の導線を整備して行きやすくすること、そのために自分たちが住んでみて理想の暮らしを作ることから始めることなど、課題の解決策に悩んでいました。
ですが、基本に立ち返ると、そもそもやりたかったことは、南伊豆の認知度を上げ、南伊豆でチャレンジしたい人を応援することや、関係人口を増やすこと。自分たちがやりたいことを徹底的に考え抜きました。関係人口となり得る人と地元企業をマッチングするというプランにたどり着きました。
ワーケーションツアーのモニターツアーなどの実践を通して、より今後企業や人が感じている課題を探り、また来訪者のニーズを見出していく取り組みをしていきます。
焼津市 魚のまちからクリエイターのまちへ
中心市街地のコワーキングスペースからつながりが生まれ、動きが出てきた焼津市ですが、デザイン会社社長の渋谷さん、地元の老舗こんにゃく店代表の岩崎さん、行政マンの菊川さんが、それぞれの立場を生かしてその次の具体的なアクションを決めたい、と参加を表明しました。
焼津といえば、日本有数の漁港のある漁業のまちというイメージが強いですが、実は個性豊かなクリエイターやすばらしい食材を生かした地場産業がたくさん潜んでいます。
最近焼津に集まってきているおもしろいクリエイターと、事業を変えたくても相談役が見つからない事業者のマッチングを目指します。関わりたいと思っている人に関わるきっかけを与えるために、渋谷さんが所有しているビルをものづくりデパートにし、焼津のヒト・モノ・コトの魅力を発信するスペースを作るプランを考えました。静岡県中部のクリエイターをターゲットに、月額や時間貸のスペースや、飲食スペースを入れ、クリエイターが楽しそうに創作する雰囲気を味わえるデパートにしたいと考えています。
まだまだ運営形態や事業内容など固まりきっていない部分もありますが、まずはアクションすることが大事です。ファーストステップとしては、実験的にビルを使い倒していくことから始めていきます。
浜松市 二俣の人と自然をつなぐ賑わいづくり
天竜の二俣地区にUターンし、飲食店や宿泊施設、ウェブ媒体の運営など、マルチに活動している中谷さんが参加。浜松市のリノベーションまちづくりでも中心的なプレーヤーで、彼の周りでも素敵なお店を開くプレーヤーが増えています。
今後の組織のあり方や事業全体の方向性を、ブートキャンプで見つけていきます。
二俣エリアは、歩いて回れるエリアですが、二俣を拠点にしながら販路はもう少し広いエリアで商売をしたいという人が出てきています。エリアならではのカルチャーを生み、川を利用した賑やかなエリアをつくることを目標に掲げました。事業者の相談役としての空き物件の誘致、二俣のおもしろい人と自然を掛け合わせたアクティビティもやろうと考えています。
さまざまな事業展開の可能性がありましたが、それらを絞り込むことができました。これから、中谷さんとしてどのような形態でそれらを運営するのか?ストーリーを作り、同じ思いをもったパートナー探しをしていくこととなりました。
最後のsessionでは、Boot Camp参加前からの振り返りと、終了後どのような姿勢で取り組んでいくかを考えました。
参加前~報告会までのモチベーショングラフを描きました。最初はどんなことをやるかわからず不安だったメンバー、わくわくしながら参加するも現実を突きつけられて沈むこともあったメンバー・・・ですが、全員報告会当日にはモチベーションが上がっていました。
できれば計画通りに事業を進めていきたいところですが、躓いてしまうこともあるでしょう。そんなときに、何が要因となり、どうすれば解決できるのか、フューチャーマッピングを描きました。
このBoot Campは、まちづくり会社同士の横のつながりを作ることも目的の一つにあり、互いに質問やアドバイスをしながら進めてきました。今回はオンラインで実際に会うことは叶いませんでしたが、今後はここで出会った仲間同士、互いの活動エリアを視察したり、困ったことがあったときには協力したりして、より質の高い活動にしていきながら、次のまちづくり会社が生まれ育つ環境も一緒に作り、静岡県内のまちづくりがより盛り上がることを期待しています。
静岡県リノベーションまちづくりBoot Camp第二期
主催:静岡県 企画・運営:株式会社machimori 事業名:静岡県リノベーションまちづくりサポートミーティング