静岡県リノベーションまちづくりBoot Camp報告会を実施しました
静岡県リノベーションまちづくりBoot Campのsession 2から約1か月後の3月12日(金)には、『稲取・下田・南伊豆・焼津・天竜…静岡県内各地のリノベーションまちづくりの新たな潮流』と題し、4チームによるBoot Campの成果報告や、一期生による1年間の活動報告などを盛り込んだ、静岡県内のリノベーションまちづくりに関するオンラインイベントを行いました。
一期生より「稲取のリノベーションまちづくりの実践とこれから」
一期生の東伊豆町稲取チームの荒武さんから、これまでの取り組みや今後の展望をプレゼンしたあと、公私ともに荒武さんをサポートしている東伊豆町役場の森田さんを交えてトークセッションを行いました。
稲取でも、人口減少に伴ってプレーヤーが見つからないことが課題です。しかし、荒武さんが建築学生、地域おこし協力隊として稲取に関わったあとも稲取に残り活動を続けたことで、行政だけではアプローチできなかった人たちがまちづくりに関わるようになり、新たなコミュニティが生まれています。
また、地元の大人たちは荒武さんに対し、当初は「若い人がたくさん来てくれていいね」、協力隊になってからは「こんなところやめておいたほうがいい」、協力隊卒業後も関わりが続き「これは本物だ」と思うようになったそうです。
荒武さんは、稲取の渋い路地裏や港町の風景を大切にしており、その風景を残し続けた先にオリジナルの風景を作っていきたいそう。まさに、今あるものを生かして新しい用途や人の動きと作ることは、リノベーションまちづくりで重要なポイントです。
二期生、いよいよ最終プレゼン!
いよいよ、一般の参加者に向けて二期生がプレゼンをします。それぞれのチームが取り組んできたことや地域の課題を述べた後、事業プランの発表をしました。
<下田市>
空き家をテントに、食事は炊事場で、焚火を囲むように人が集う…そんな、VILLAGE INC.らしい「キャンプするようなまちづくり」を目指します。
すでに空き物件の内覧も進めており、来年にはリノベーションを開始したいと考えています。オフシーズンの会社スタッフや、仕事をどんどん請けていきたい工務店も活躍の場が広がりそうです。
サーフィンやアウトドアとともに暮らしたい30代の人がキャンプを楽しむ、新たな下田に生まれ変わるのを楽しみにしています。
<南伊豆町>
「都会から3時間で行けるリゾート」での地域密着型ワーケーションを計画しました。地域の課題解決や交流に興味のある企業や個人に向けて、南伊豆町のコーディネートをします。リピートにつなげるために、「人」に焦点を当てた事業です。
物件を活用しなくても、小さくてもできることから黒字にしていく。まちに新しい人を呼び、新しい使い方をしてもらうことで、地元の人にとっても雇用の増加や魅力の再発見など新しい流れが生まれることを期待しています。
<焼津市>
既にメンバーの渋谷さんの会社が運営するHomebase YAIZU等がある、焼津駅前商店街を中心に活動していくことを決めました。商店街で何か始めたいクリエイターと、伝統的な地場産業を融合させ、クリエイターを応援するチャレンジデパートをつくり、地元の20~30代が日常的に訪れるエリアを作っていくとのことです。
さまざまな職業のメンバーが集まる焼津チームですが、チームとしては、まずは仲間を集めて企画会議をしていくことを一歩目に、プランを実行に移していきます。
<浜松市>
独自にいくつもの事業を行っている中谷さんですが、今までは事業をどんどん展開していたのを、これからは事業と事業を掛け合わせて新しい事業を生み出すことをしていきたいそうです。そのために、例えば、新しい事業として旅行サイトを作るのに必要な旅行業を取得するなど、新しい挑戦も考えているようです。また、エリア内の他の企業とも協働で二俣川の河川敷の事業を進めていくことも決めました。
中谷さんのこれまでの一つひとつの積み重ねが、天竜に興味を持つ人を呼んでおり、これからさらに発展していくことを感じました。
トークセッション「静岡県のリノベーションまちづくりの現在、そして、これから」
浜松市のリノベーションまちづくりを牽引してきた浜松市役所の佐々木さんをお招きし、二期生とのトークセッションを行いました。
浜松市のリノベーションまちづくりは、人が中心であり、魅力的な活動をする人が共感する人を呼び、エリア価値が向上してきました。人の関わりが蓄積してきたことが強みであると、佐々木さんは言います。また、浜松市では、個人の力では敵わないところを企業と連携して事業に取り組む「企業版リノベーションスクール」も全国に先駆けて始めました。いろいろな人が関わり、横のつながりを作ったりバトンを引き継いだりして、まちの力を強くしています。
佐々木さんは浜松出身ではないのですが、プレーヤーや不動産オーナーとのコネクションを積極的に増やしており、多くの人から厚く信頼されています。浜松チームの中谷さんも佐々木さんを信頼する一人で、「佐々木さんがいなければ浜松で起業する人はここまで増えなかったのでは。起業する人たちがつながっていって、全体の活気を底上げしているのでは。」と称賛しています。
民間が力を発揮するために、行政は伴走して温かく見守り、二人三脚で取り組むことが、官民連携の成功の鍵と伺いました。行政の中でも部署間で連携を取り、うまく後押しできる仕組みが必要です。焼津チームの菊川さんは、「民間から相談があれば相談に乗るが、関わり方はまだ模索中。机上では答えは出ないので、現場に出て課題を拾うようにしています。」と、行政としての関わり方に悩みながらも現場の大切さを感じているようです。
報告会には、県内外から60名以上もの方にご参加いただきました。参加者同士で感想や活動エリアの情報共有をし、各チームへの応援コメントもたくさん届きました。
この報告会をきっかけに、二期生は新たなサポーターと出会い、さらに事業が前に進むことを願っています。
稲取・下田・南伊豆・焼津・天竜…静岡県内各地のリノベーションまちづくりの新たな潮流~静岡県リノベーションまちづくりBoot Camp報告会~
主催:静岡県 企画・運営:株式会社machimori 事業名:静岡県リノベーションまちづくりBoot Camp報告会